こんにちは、はまみらいプロジェクトの伊藤です。
今回の記事では、赤レンガ倉庫の「みんなのトイレ」を評価していきたいと思います。
「みんなのトイレ」をご存知でしょうか?特に決められた名前はなく、「多目的トイレ」とも呼ばれています。このトイレは、大抵の場合、車椅子用の機能を持つトイレが設置されており、よく観察すると、場所によってさまざまです。
今回は、その「みんなのトイレ」を観察し、独自に作成したチェックシートをもとに、機能的な面から、評価していきます。今一度、トイレから公共施設の建築について考えてみます!
1. 観察対象
今回の観察対象は、赤レンガ倉庫の建物から少し歩いた、「赤レンガパーク 公衆トイレ」です。
赤レンガ周辺の敷地にポツンとあるトイレなので、混雑はしていません。
今回は、女性用トイレにあるみんなのトイレを評価します!
住所:〒231-0001 神奈川県横浜市中区新港1丁目1
2. 評価チェックシート
ここで、「良いトイレ」とは何かについて考えてみます。
今回の評価において独自のチェックシートを作成しました。
今回は特に、みんなのトイレの機能面を見てみます。わかりやすいように書いていますが、少しだけ説明します!
「右手用・左手用のみんなのトイレがある。」…左右の片方だけ麻痺している人もいるので、両方に対応するトイレがあったほうがいいんですね。
「可動式(用景色、回転式)である。」…手すりが回転しない場合、車いすからトイレに体を移すのが不便です。
「呼び出しボタンが複数ある」…呼び出しボタンは、みんなのトイレの場合、座った状態で押せるものと、地面の近くに引っ張るタイプの2種類が用意されています。後者は、もし利用者が倒れてしまったときでも、その状態から呼び出しボタンを引っ張れるようにするためです!
「角度がない。」…鏡に角度が付いていると、車いすの人は見やすいかもしれませんが、健常者は自分の顔が見えないです。「みんな」のトイレですから。
「カーテンがある」…介護者も一緒にトイレに入ることがあります。用を足してる時にトイレの中にいながら、お互いの姿が見えないようにするために、カーテンを備え付けることが望ましいです。
3. 評価結果
上述のチェックシートを用いて、今回の観察対象を評価します。評価基準は、私の主観です!
3段階に分け、点数をつけます。〇が5点、△が3点、×が1点です。31項目あるので、155点満点です。比較対象がありませんが、みなさんもこのチェックシートを使って、身近なトイレを評価してみてほしいと思います!
〇が16個、△が5個、×が10個で、合計点は105点でした。あくまでも個人の見解です。
この公衆トイレは、車いす用の個室が2つあり、1つは古そうな感じで、1つは新しそうな清潔なトイレでした。
これは2つのうち新しい方のトイレです。
〈良かった点〉
非常に清潔感があることです。音姫や自動センサー付きの手洗いなど機能面で優れていました。オストメイトのための設備があったこともよかったです。
※オストメイトとは、腹部に人工の肛門・膀胱を造設し、そこから排泄を行う人のことです。
〈改善点〉
子供用ベッドはあるが、大人用のベッドがなかった点や、オストメイトのシャワーがついていない点など、少し物足りないところがありました。また、以下のような注意書きの張り紙があったことから、使用者のマナーがよくなかった可能性があります...。
以上のように、いくつか改善点はあったものの、全体的には公衆トイレにしては利用しやすいトイレでした!
4. 口コミという視点
ここで、評価基準とは別の視点からトイレを考えます。
今回は、口コミに注目します。Googleで、「赤レンガパーク 公衆トイレ」と検索した時の、クチコミを見てみましょう。
平均評価:3.6
クチコミ一例
以上のようなクチコミが見られました。ここからわかるのは、清潔さに触れているものがほとんどであるということです。機能に触れたものはなく、多くの人がその機能の便利な点・不便な点に気付いていないとも考えられるでしょう。車椅子利用者やオストメイトの方など、実際に、一般的なトイレで不便を感じる方の声は見られません。もしかしたら、我々が声を上げられない環境を作っているかもしれません。今まで気付いていなかった視点から、もう一度見直してみることが重要になってくるとわかりました!
5.おわりに
今回は、赤レンガにある公衆トイレ、「みんなのトイレ」を評価してみました!
普段はあまり目を向けないトイレについて考えるのはとても興味深かったです!
多くの観光客が訪れる場所である赤レンガ倉庫だからこそ、よりよい施設を目指す1つのきっかけになるかもしれません。
都市科学部建築学科 伊藤理名子
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